これからの季節はトップウォーターかボトムで攻めるか、ハードなのかソフトなのか、アクションは アグレッシブ に攻めるか繊細にいくか、など環境やシチュエーションも踏まえていろいろ考案すると思いますが、じゃあカラーはどうセレクトするべきなのでしょうか?
実際、最も適したルアーカラーを選ぶのは苦悩するものであり、個人的な好みや経験に左右されることが多いと思います。
しかし、ブラックバスの生態に関する科学目線ではどうなのでしょうか?
研究で明らかになったブラックバスの色の見え方
私が知らなかっただけですが、すでにアメリカでは、1930年代後半にバスの視覚について研究されており、最初の研究では餌のご褒美を与えて、赤・黄・緑・青・黒など異なる色のターゲットに近づくようにバスを訓練し、その結果、赤と緑を区別できることが明らかになりました。
バスは赤と緑を区別できる
バスの目は人間の目と同じように、ロッド(棒)とコーン(円錐)と呼ばれる異なる種類の光受容細胞を持っています。ロッドは光と動きをとらえ、コーンは色を認識します。
ロッド細胞は、低照度下や夜間での視覚能力をバスに提供しますが、色覚にはあまり関係ありません。
一方、錐体細胞は特定の色に敏感に反応。
例えば、人間には3種類の錐体細胞があり、1つは赤、もう1つは緑、そして3つ目は青に反応します。
イリノイ州とニューヨーク州の大学の研究者たちは、バスの目には緑色に敏感な錐体細胞と赤色に反応する錐体細胞の2種類しかないことを発見しました。
※ちなみに余談ですが、シャコの目は16種類です(笑)
この研究チームはバスが異なる色の刺激に対してどのように反応するのか。また、バスが密接に関連した色をどの程度区別できるのかを調べるために、詳細な行動分析を行いました。
実験では、特定の色(赤・緑・白・黄・青・黒)のターゲットを攻撃するように訓練し、正しい色のターゲットが選択された場合には餌を与えました。
その結果、赤と緑のどちらかを攻撃するように訓練された魚は、赤のターゲットが80%以上、緑のターゲットが75%近く正しく選択されているという高い色選択性を示したようです。
バスは赤と緑以外の区別ができるのか
一方、青を狙うように訓練されたバスは48%の確率で青を狙うが、黒も40%近く狙いました。
同様に、 白のターゲットを狙ったバスは33%が白を選択するが、30%は黄色系を選択しました。
これらの結果は何を意味するのでしょうか?
- オオクチバスの目の細胞構成は、赤と緑の2色に反応するように調整されている。バスはこの色をよく見て、この色を基準に高い選択性で判断している。
- 赤や緑以外の多くの暗色は、青や黒などの暗色をベースにした選択性の高い判断ができない。
- 黄色や白のような非常に明るい色をバスは見分けることができない。
ただ、科学的な背景を説明したときに、この実験は透明な水の中で行われたもので、世界の水域で調査したわけではありません。
濁った水の中で色の選択性が、透明な水の中で観察された色とは大きく異なる状況は考えられます。
また、今回の行動研究では体長8~12インチのバスを使用しており、年齢とともに色覚が変化する可能性がありますが、幼魚の色選択性は成魚の色選択性と一致していると仮定しているとのことです。
とはいえ、このような制限はあるにせよ、これらの生物学的・行動学的研究はバス釣りに幅広い影響を与える可能性を秘めています。
ルアーは4つの基本色に整理することができる
これらの結果を参考にして、
バスルアーのコレクションを明るい色(白や黄)・緑・赤・濃い色(青・茶・黒)の4つの基本色に整理することができると思います。
白いスピナーベイトのスカートの中にチャートルーズ(黄緑系)が数本入っていても、バスにとっては白にしか見えない。
黒と青のコレクションはバスにとっては色的にどれも同じに見えてしまう。
となると、青や紫の色を分けてタックルボックスに収納する必要性もなくなる・・・
赤のクランクに黒の縦線が入っているベイトや、明るいジャークベイトに黒のバックが付いているような、バスが観察しやすい色のコントラストがはっきりしているルアーは今後も重要だと思います。
まとめ
ルアーを選ぶ際には、カラーが重要なファクターであることは明らかです。
自分の経験を参考にしながらも、バスは明るい色・緑・赤・濃い色を見ているという科学的根拠にも耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
勘違いしないでほしいのは、緑や赤が好きということではありません(笑)
1. Brown, FA, Jr. 1937 “Responses of the large-mouth black bass to color.” Illinois Natural History Survey Bulletin, Vol 21, pages 33-55.
参考文献
2. Mitchem LD, Stanis S, Zhou M, Loew E, Epifanio JM, Fuller RC. 2019 “Seeing red: color vision in the largemouth bass.” Current Zoology, Vol 65, pages 43-52.
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。